2024.12.17
■この記事は6分で読めます新しいIITL(アイティル)のフレームワーク「ITIL v4」が2019年にリリースされたということをご存知でしょうか。
「えっいつの間に新しいITILが出たの?」と驚かれるのも無理はありません。1990年代の携帯電話がスマートフォンに進化したように、私たちを取り巻くITの環境も変化し、ITILもまた進化を遂げています。ITIL4は、単なるアップグレードではなく、全く新しい考え方を導入しています。この記事では、その違いを見てみましょう。
ITIL3の世界では、プロセスや役割、フローを一度に完璧に整えることが求められておりました。ITIL3はまるでサービスオペレーションのための「規則の書」といった感じでした。しかし、ITIL4は違います。現代の急速に変化するIT環境に合わせて、柔軟で適応可能なフレームワークを提供するように進化しました。
この変化の背景には、デジタルトランスフォーメーションの加速やビジネスニーズの多様化があり、ITサービスマネジメントが従来の規則重視のアプローチでは限界に達していたことが挙げられます。ITIL4は、こうした課題に対応するために、より強力と連携を重視し、価値にフォーカスした手法を導入したのです。
ITIL4では、「サービスバリューシステム(SVS)」という概念を中心に据えており、関係者の協力やフィードバックが強調されています。ITI4では、単にプロセスを守ることよりも、チームが価値を創出するためにどう協力できるかに重きが置かれています。なんだか、仕事がもう少し人間的になったような気がしますね。
ITIL4では、ITIL3の「プロセス」に代わって「プラクティス」という概念が登場しました。これは、すべてをフレームワーク内で縛るのではなく、必要なときに適切に使える柔軟なツールを提供しようという考えです。ITIL3で構築に苦労したインシデント管理のプロセスも、ITIL4ではより簡素化されたガイドラインとして扱われます。
さらに、ITIL4は「ガバナンス」や「継続的改善」も強化されています。例えば、ITIL3ではプロセスごとに規定されていた管理手順も、ITIL4では、ビジネスの目標達成に向けた価値提供を最適化するために調整されます。
ITIL3は、安定性重視のIT環境に適応したものであり、厳格なプロセスを遵守することで品質を確保することが目的に作られた「確立された規則を守るためのフレームワーク」ということに対して、ITIL4は「ビジネスと共に成長するフレームワーク」なのです。
ここまで読んで、ITIL3を学び、ITIL3に沿った運用をしてきた方は「また勉強しなおすの大変だな」と徒労感を感じた方もいるかもしれませんが、ITIL4は、ゼロから学ぶというものではありません。
ITIL4は実際には「使える部分を使う」というアプローチを推奨しています。全部を覚えたり、適用する必要はありません。
ITIL4は、クラウド、デジタルトランスフォーメーション、アジャイル、DevOpsといった現代のITトレンドを支えるために設計されています。古いITIL3の世界では見えなかった現代の複雑なIT環境に対応するために進化したこの新しいフレームワークを試してみることで、サービスマネジメントがさらに効果的になるかもしれません。
ITIL3からITIL4への変化は、単なるバージョンアップではなく、ITサービスマネジメントの考え方自体の変革です。規則重視から柔軟性重視へ、プロセスからプラクティスへ。これらの進化により、あなたのサービスマネジメントも、より時代に適応しやすく、価値創造にフォーカスしたものになるでしょう。
ITIL4を恐れず、ぜひ一歩踏み出して、その違いを体験してみてください!
私たちリックソフトは、ITIL4に準拠したITサービスマネジメントツールの「Jira Service Management」のライセンスに加え、自社で設計できるための知識を体得できる個社研修・ガイドブック・eラーニングツールを提供しています。
「Jira Service Managementは 自然とITILのお作法に沿ったITサービスマネジメントが実現するツールです」(インフォテックの事例を読む)
3.5万人のリクエストを管理するJALインフォテックも絶賛!
ITSMツール「Jira Service Management」を知る【執筆】
リックソフト株式会社 マーケティング部
堀田実希